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序章

どうもです。

 

人間交差点。この国には1億2千万の人が住み。それぞれが様々な価値観、生き方をもっている。他人の考え方を私のような人間が否定することはできないが、生きるという事はまるで交差点のように様々な他人とすれ違い、また関わりあい互いの目的に進んでいくようなものだと思う。

今日と同じように急に寒くなり、何やら世間が慌ただしく感じるこの季節。

忘れられない出会いがあった。そう、それは一つの人間交差点だったのだ・・・

 

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数年前、当時の私は関西で風俗のスカウトという仕事をしていた。

ネット使ったり、街中で声をかけたりと活動をしていたのである。

そんな時、私が仕事用にしていたmixiアカウントにあるメッセージが届いた。

 

「仕事を紹介してください」

 

私は時間と待ち合わせ場所を指定し、その女性と会うことにした。

待ち合わせに現れた女性は、風俗嬢独特の雰囲気は無くおとなしく可愛らしい女性だった。聞けば、エステ関係の専門学校で講師をしているとのこと。

 

風俗はやはり初めてだった。

 

私はあまり深く詮索はせずに、現在紹介できる店についての説明をはじめた。

女性は口を使ってのサービスはどうしてもしたくないとのことだったので、私は飛田新地の店を紹介した。

 

さっそく店のマスターに連絡をし、その日のうちに体験入店できることに。

今から知らない男と関係を持つというのに、顔色一つ変わらず女性は強いものだと感心したのを覚えている。

いや、女性はそれを見せないのかもしれない。

 

タクシーに乗り、飛田新地に到着。

店は激戦区メイン通りにある店だ。飛田に行ったことがある人なら分かると思うがメイン通り、青春通りで働いている女性はとにかくレベルが高い。

ここで客がとれるか若干不安だったが、紹介できる飛田の店はここしかない。

初日、坊主(客がつかない事)だった場合、もうやらない可能性が非常に高いのである。

 

ネオンのまばゆい光の中、私とその女性は歩いて店へ向かう。

今日も飛田は繁盛している。冷やかしであろう学生集団とすれ違う。

山彦のように響き渡る呼び込みのおばちゃんの声。

商品として座っている女性たちは目があうと優しく微笑みかけてくる。

この街には我々の知らない非日常がある。

 

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店に到着し、マスターに挨拶を済まし、業務の説明もそこそこにさっそく店前に座る。

私は閉店時間に戻ってくると伝え、店を後にした。

そのまま私は近くにある銭湯に行った。この地域の銭湯は最高だ。昭和の哀愁があり、なにより生きているって実感できる。そこで私は毎回のように人生について深い自問自答をしてしまう。考えていたらあっという間に時間が過ぎ、体温が上がる。答えは毎回出ないのだが、それを考えることが人生であると思う。

風呂から出た後のフルーツ牛乳が体内を癒してくれる。

外に出る、やはりこの季節。夜になると急に気温が下がる。これが冬型の気圧配置というやつか・・・

季節の変わり目に感じる妙な寂しさが私は苦手だ。

 

閉店時間、店に戻りマスターに進捗を聞く。やはり坊主だった。

飛田では初心者が客を取るのは中々難しい。とびきり美人であれば話は別だが・・・

他の風俗と違い、飛田では直接女の子を見ることができる。しかも隣の店も向かいの店もかなりの美人を揃えている。そこで重要になってくるのが愛嬌だ。道ゆく男たちと目が合えば自然に微笑みかける。こういった場所ではいくら美人でも暗い表情や愛想がないのはNGである。客も高い金を払うわけで、そういった態度でいくとサービスが悪そうだと思われる。

特に初心者の場合だと緊張もあってか、不自然な笑顔になってしまう場合が多い。

 

帰り際、マスターは優しく「もう一度チャレンジすればいけるよ」と言ってくれたが、

この女性はもう戻らないだろう。私は思った。

 

難波まで彼女をタクシーで、送る道中。

私は思い切って働こうと思った理由を聞いた。彼女はなんの戸惑いも見せず、さらりと借金があると言った。

聞けば、ネットワークビジネスをやっており、それの商材代金でローンを組んでいるとのことだった。

ただ、彼女はその商材については確実に儲けられると豪語しており、「楽して儲けられる」のワードに私のチンパンジー並みの脳みそが食いついたのは不思議ではなかった。

今まで、googleの検索窓に『楽して稼ぐ』のキーワードを何度打ち込んだことか。

 

人間というのは、本来、卑しく、惨めな生き物なのだ。

 

彼女の話に興味もあったが、そのために風俗で働くのかと。

人間の思考というのは浅はかなところにたどり着くのがお決まりだ。

 

彼女を南海難波駅でおろし、私は家路に向かう。

週末のミナミは相変わらず騒がしい。

それぞれが人知れず課題を抱え、踠き、生きているのだろう。私は帰り道の空を見上げながら問う。

人生ってなんですか?